「バキ」シリーズの第1作「グラップラー刃牙」において、主に漢字に対して当て字のようなルビを振っている表現を↓の記事にて集計めた。それらの用法について大きく4つのカテゴリへ分類を行い、用法の体系化を試みた。
代名詞的用法
人、場所、ものごとに対して代名詞や指示代名詞の形でルビを振るパターン。バキシリーズ固有の表現というわけではなく、他の漫画でもわりと散見られる使い方である。
巻数 | 話数 | セリフ | 特殊ルビの読み方 |
2 | 10 | きっと怒るンだろォなァ〜 あの末堂! | ヒト |
3 | 18 | 対戦者を八ツ裂きにでもしたくなるんだ | あいて |
10 | 85 | さっさと帝王ジムへこいよォ | うち |
18 | 159 | あなたが勇次郎を好きだってこと… | あのひと |
33 | 289 | 移民先から一流になることを夢見て | ブラジル |
38 | 331 | 危機へ辿り着けぬのじゃよ | そこ |
40 | 349 | 戦場ではそれがルールだ | ここ |
他言語変換型用法
主に熟語形に対し、主に英訳をルビとして振るパターン。ほかのバトル漫画、限りなくバトル漫画に近いあのスポーツ漫画でも技名などで割と使われることが多い。
邦→洋
漢字の熟語形に横文字のルビを振るパターン。外国籍キャラクターもよく使う傾向にある。
巻数 | 話数 | セリフ | 特殊ルビの読み方 |
1 | 3 | 異種格闘技戦の成立だ | スペシャルマッチ |
8 | 71 | やはり平凡な中段突きだッッッ | ボディブロー |
15 | 127 | 見かけん顔だが…中国人か… | チャイニーズ |
25 | 216 | なるものじゃないな 大統領なんて | プレジデント |
25 | 216 | これは最高機密だぞアマナイ | トップシークレット |
27 | 233 | さっきのような関節技の場合は特にな… | サブミッション |
34 | 297 | 大蛇という地上最大の爬虫類を相手取り | アナコンダ |
洋→邦
頻度はかなり少ないが、「TEL」に「でんわ」のルビを振るインパクトは絶大。
巻数 | 話数 | セリフ | 特殊ルビの読み方 |
6 | 52 | 宿泊を確認するTELがありまして | でんわ |
12 | 105 | ルールはフリースタイル | ケンカスタイル |
音訓変換型用法
「バキシリーズの特徴的な読み方」といえばこのカテゴリが想像されることがほとんどかと思われる、作品の象徴ともいえる用法。インパクトの大きさ、登場頻度ともにかなり高ポイント。
送りがな無し
熟語形の一部の訓読みを、その熟語にそのままルビとして振るパターンで、名詞・動名詞としての役割になるパターン。
巻数 | 話数 | セリフ | 特殊ルビの読み方 |
8 | 67 | まるで筋肉の要塞だッッ | にく |
13 | 115 | 喧嘩じゃ先手取られちまったがよ | さき |
15 | 126 | 幸福なお二人に盛大な拍手をお願いいたします! | しあわせ |
17 | 146 | 殺人という名の美酒 | ころし |
28 | 246 | チンケな喧嘩ではありますが 次の試合… | タイマン |
31 | 272 | 闘争の思想 | たたかい |
31 | 272 | 敵に勝利を哀願するとはなという軟弱ッッッ | かち |
37 | 324 | 思い込みの威力だ | ちから |
送りがな有り
熟語形の一部の訓読みを、送り仮名を含めてルビとして振るパターンで、主に動詞形の役割になるパターン。 かの有名な「開始め(はじめ)」「理解らせる(わからせる)」等もこのカテゴリとなる。
巻数 | 話数 | セリフ | 特殊ルビの読み方 |
4 | 34 | 開始まる… | はじまる |
7 | 60 | 五輪も終了り | おわり |
7 | 62 | よもやこいつを使用えるとは思わなかった | つかえる |
7 | 63 | 防御ぎようがない!!! | ふせぎ |
9 | 74 | 自身がねェならオレが連行ていくぜ… | つれて |
10 | 82 | 世間が変化ったとはいえ | かわった |
12 | 105 | モニターを停止てちょうだい | とめて |
14 | 121 | 破壊れた左ヒジでェェ!! | こわれた |
15 | 134 | 聞こえる敵なら接近くこともできましょうッ | ちかづく |
15 | 134 | まてよ…沼の近くに降下たんだから… | おりた |
18 | 155 | 理解ったようだね黒川さん… | わかった |
23 | 203 | 気の毒だが嘲笑いたいのはボクのほうだよ | わらいたい |
26 | 227 | 敗北た… | まけた |
26 | 228 | もはや他人が勝敗を決定るレベルではないわ | きめる |
30 | 257 | これだけの偉業を継続けられるのでしょう | つづけ |
35 | 305 | そして君はよく反応えてくれたー | こたえて |
意味上の変換
構成文字の読み方には当てはまらないが、その熟語のイメージをルビとして振るパターン。
巻数 | 話数 | セリフ | 特殊ルビの読み方 |
1 | 8 | 加藤さんが出場ていたらもっと楽しめたのに… | でていたら |
6 | 46 | 今さら師匠から学ぶことなんてないね | オヤジ |
7 | 61 | 護身のために研鑽き抜いたハズの技術 | みがきぬいた |
11 | 95 | 畏怖える刃牙…!! | ふるえる |
20 | 171 | 八九三の世界に身を置く花山なればこその計らいであった | ケンカ |
20 | 177 | 対戦相手が美女に見えるのさ | ボニータ |
25 | 216 | あれが闘う直前の男の表情か!? | かお |
29 | 249 | これで互角だ | ため |
35 | 302 | 筋肉が縮小んでしまうのだ | しぼんで |
40 | 348 | 同胞は挽き肉になっているのにアメリカさんはきれいなものね… | ミンチ |
センス爆発型用法
厳密にいうと上記の3分類のいずれかには属するのだが、極めてインパクトが強く「別格」として認識しておきたいパターン。何を食ったらこんな発想が着想(で)てくるのか。
巻数 | 話数 | セリフ | 特殊ルビの読み方 |
7 | 61 | イヤ…生き甲斐すら感じていたようだった… | よろこび |
9 | 81 | 栗谷川さんから13歳の少年に暴行を加えるよう依頼まれたんですが… | たのまれた |
12 | 106 | ぜんぜん変化っちゃってる | ちがっちゃってる |
12 | 108 | 爆薬…? | エスクプロシブ |
14 | 121 | 愉悦しんでる…ッッ | たのしんでる |
16 | 136 | 変質的攻撃癖なあんたの性格がオレを助けた | サディスティック |
23 | 200 | 喧嘩意地! | ゴロメンツ |
27 | 237 | 空手界の最終兵器 | リーサルウエポン |
30 | 265 | もし神と言うものがこの世に存在のなら | いた |
39 | 345 | 二足歩行の肉食獣が採る構え!!! | ファイティングポーズ |
40 | 351 | 曰く「素手の軍隊」 | ベアナックルアーミー |
まとめ
まとめた結果は以上となった。今後は「バキ」「範馬刃牙」「刃牙道」でも集計と分析を行い、新種の用法が登場するか注目しながらまとめていきたい。
おわり